テレビ万有時報vol.96
「ほろ苦い”テキーラ”・の巻」

なぁーんにも無いという時もあるのに、何故かこの1週間ほどは心惹かれる番組 がいくつもあってそれはそれで困っちゃいます。で、そんな難関?をくぐり抜け、 お届けしたいのがドラマ「本当と嘘とテキーラ」(5/28 テレビ東京系で放送)。 主人公の尾崎(佐藤浩市)は妻を二年前に亡くし、中学生の娘・朝美と二人暮ら し。企業の不祥事の対応や社員研修などを請け負う危機管理コンサルタントの会 社を、小さいながらも経営している。ある日、朝美の同級生が自殺し、娘が関わ っていたかもしれないと学校から告げられるが・・。

こうして書くと何やら重苦しそうですが、雰囲気的には淡々と&ひょうひょうと 進行。娘の同級生の自殺という出来事は勿論ショッキングなのですが、いわゆる 『現代の心の闇』とか『企業倫理の崩壊』みたいなディープなテーマではなく、 ごくふつうに生きている人々にも充分起こりうる危機を描いていて、それだけに 「自分ならどうするだろう?」と考えさせられるドラマでした。

どんな内容か事前情報無しに見始めて、最初にガシッと掴まれたのは尾崎がある 製造メーカーの謝罪会見を取り仕切る場面。会社として謝罪しているようでいて、 でも責任は一担当者だけに押しつける。記者からの突っ込みを想定しながらの、 緻密で入念なリハーサル・・。どうしても何かと問題になっていた大阪の老舗料 亭を思い出しちゃいますよね。うすうすは「まぁこんな事だろうなぁ」と思って いたことを「ああやっぱり」と再確認させられたような気分でしたが。でも同時 にドラマとしてはシビアで、結構踏み込んでるなぁと感心したりもしました。

そして、普段ビジネスとして割り切ってそんな修羅場をさばいている”危機管理 のプロ”の尾崎が、いざ娘のこととなるとオロオロしてしまうのが、皮肉でリア ル。とりあえずうまく行っている娘との関係、それを壊したくないし、問い質す のも恐ろしくて「パパ、しつこい」と言われ怖じ気づいてしまう尾崎。さらに娘 から「本当の事を隠すのがパパのやり方。私もそうしてるだけ」とやり返されて、 もう返す言葉もないパパ。・・図星だけど、キツイですねぇ、これは。。

最後には真相(と言っても深刻なイジメなどではなく、自殺した同級生に殴られ た朝美が突発的に「死ねば?」と口にしただけ)も娘の口から明かされ、分かっ てみれば特に何ということでも無かったのだけど、大人たちは朝美の勇気を称え る。でも『それはそれ、これはこれ』とばかりに、仕事上でのスタンスは変えず にいつもの日常に戻っていく大人たちでありました。。

みんながみんな良心に目覚めて正直者になっちゃう結末は綺麗事過ぎるから、こ れくらいビターな方が真実味があって個人的には嫌いじゃない。それに何でもか んでも真実を暴けば良くなるというものでもない気もするけど、でもちょっとフ クザツ・・。そーそ、テキーラとは尾崎が社員研修の時に教える『心を隠して笑 顔を作る営業用スマイルの技』。声には出さず「テキーラ」と唱えれば、ほーら ねニッコリ笑顔。ただ自分でもやってみましたが、顔の下半分だけの笑顔ってと ころが不気味(苦笑)。できればプライベートでは使いたくないですね。。


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